新型コロナウイルスの世界全体におよぶ大規模な流行は、ドイツのメルケル首相やイギリスのボリス首相といった世界各国のリーダーたちによってたびたび戦争になぞらえて語られているが、

かつて日本が経験した戦争における大規模な被害としては、広島と長崎に落とされた原子爆弾による被害と並んで、東京大空襲を中心とする焼夷弾を用いた大規模な戦略爆撃による被害が思い起こされる。

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東京大空襲とスペイン風邪における死者の数

太平洋戦争中にアメリカを中心とする連合国軍が日本各都市に対して行った長期間の大規模な無差別爆撃にあたる東京大空襲を中心とする日本本土空襲においては、日本全土において30万人から40万人にもおよぶ死者が発生したとされている。

このように、数多くの人間の命が奪われていく悲劇となる出来事としては、第一に戦争における犠牲者たちの姿が目に浮かぶことになるが、

その一方で、太古の時代からこうした戦争の悲劇と同じくらい、あるいは、それ以上に多くの人間の命を奪い去ってきた存在としては、ウイルスや細菌などの病原体を原因とする疫病の流行が挙げられる。

実際、東京大空襲を中心とする日本本土空襲が行われていた時代から30年ほどの前へとさかのぼる1918年のスペイン風邪の流行においては、日本全国において前述した日本本土空襲とほぼ同じ規模にあたる39万人にもおよぶ死者が発生したと推定されている。

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しかも、こうしたスペイン風邪と呼ばれる世界規模での新型ウイルスの流行においては、日本での39万人という死者の数は、世界的な視点で見れば、これでもまだ比較的軽微なものであったと考えられ、

スペイン風邪の流行の中心地の一つとなったヨーロッパ全土においては230万人もの死者が発生することになったほか、

アメリカでの死者は50万人、インドでの死者に至っては1700万人にもおよぶとする推計もあり、世界全体では2500万人~5000万人にもおよぶ膨大な数の人間の命が失われていくことになったと考えられている。

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目に見える悪魔としての戦争と目に見えない悪魔としてのウイルス

今回の新型コロナウイルスの世界規模での大流行は、戦争と同様に、悪魔という言葉によってもたとえられているが、

戦争において天空から地上の都市へと降り注ぐ兵器の炎がその猛火を目にした人々の命を即座に奪い去る目に見える悪魔であるとするならば、

そうした目に見える炎をほとばしらせることなく静かに人間社会の奥深くへと侵入していき、時間をかけて確実に人々の命を奪い去っていくウイルスたちは、人間にとってまさに目に見えない悪魔ということになるのだろう。

そして、そうした目に見えない悪魔としてのウイルスの姿を、再び目に見える悪魔としての戦争と兵器の姿と重ねて語り直していくとするならば、

新型ウイルスが世界各地で猛威を振るっている現在の状況は、無数の目に見えない焼夷弾が世界中の都市の空から降り注ぎ続けている状況にあると言えるのかもしれない。

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