TANTANの独考

時事考察と哲学的思考を中心とする移ろいゆくものと永遠にとどまり続けるものについての筆者の主観的な観点からの見解も含めた独自の思考の記述

「時事考察」の記事一覧

バタフライエフェクトとウイルス粒子

バタフライエフェクトと呼ばれる概念は、蝶の羽ばたきや竜巻といった気象学的な現象よりも、むしろ、ウイルスという微小な病原体の振る舞いとその小さな存在が世界全体へと与える影響の大きさを説明するのに最も適した概念となっている。気象や人間の社会生活における通常のケースではで、バタフライエフェクトと呼ばれる現象は、はじめに生じた小さな事象の変化の影響は、大きな事象の変化を生み出す前にすぐに減衰していって影響力を失ってしまうことになる。

夢の赤富士に見る放射能とウイルスの色と黒澤明とビル・ゲイツの予見

1990年に公開された黒澤明監督による『夢』の中に出てくる「赤富士」と題された映画作品では、赤い色に着色されたプルトニウム239や、黄色に着色されたストロンチウム90、紫色に着色されたセシウム137といった色とりどりの色彩を放つ放射性物質の微粒子の姿が描かれている。新型ウイルスや放射能といった目に見えない脅威を正しく把握するためには、目に見えないものに自分の心の内で色をつけて見るような豊かな想像力と一人一人の人間における知性の力が必要となる。

東京大空襲とスペイン風邪における死者の数:目に見える悪魔と目に見えない悪魔

東京大空襲を中心とする日本本土空襲においては、日本全土において30万人から40万人にもおよぶ死者が発生したとされているが、1918年のスペイン風邪の流行においては日本全国で本本土空襲とほぼ同じ規模にあたる39万人にもおよぶ死者が発生したと推定されている。そうした目に見えない悪魔としてのウイルスの姿を目に見える悪魔としての戦争と兵器の姿と重ねて語り直していくとするならば、新型ウイルスが世界各地で猛威を振るっている現在の状況は、無数の目に見えない焼夷弾が世界中の都市の空から降り注ぎ続けている状況にあると言えるのかもしれない。

ウイルスとの戦いと国破れて山河在りの世界観

「国破れて山河在り」という句ではじまる古代の漢詩における世界観は、現代においては、世界のすべてを根こそぎに焼き尽くしてしまう本物の戦争よりも、目に見えない敵と戦う静かな戦争であるウイルスとの戦いの内にある今この時にこそふさわしい。人間と植物は同じ空間と時間を常に共有しているように見えて実際には異なる世界の内に生きている。少なくともウイルスとの関係という観点においては。

ウイルスに対する人間社会の抵抗力は社会統制・医療水準・衛生観念・国民全体の協調性の四つの要素のかけ算で決まるのではないか?

ウイルスに対する人間社会の抵抗力は社会統制・医療水準・衛生観念・国民全体の協調性の四つの要素のかけ算で決まると考えられる。都市封鎖といった国家による強権的な社会統制を行うことができない日本などの民主主義国家においては、社会全体のレベルでの衛生観念の高さと国民全体のレベルでの同調性や協調的な秩序意識によってウイルスの流行拡大に対抗していく必要があると考えられる。

マスクの着用による社会全体における感染症の予防効果と囚人のジレンマ

個人のマスクの着用による社会全体における感染症の予防効果について考えていく場合、問題の本質は、ゲーム理論における囚人のジレンマに帰結することになる。社会を構成する大多数人々が囚人のジレンマにおける裏切り型ではなく協調型の戦略を選択していくことによって、マスクの着用による社会全体における感染症予防効果が最大限に実現されることになる。